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「働く美女」がメンバーの条件 悪女学研究所所長 藤田尚弓さん(産経新聞)

 ■働く女性に社会の処世術

 「悪女ですが、何か?」

 そんな挑戦的な言葉を口にしながら、語り口は穏やかだ。

 「悪女学研究所というと悪女を育てる学校のように思われますが、実際は『歴史上の悪女』の研究会です。歴史には女性が働くための教訓や処世術がいっぱい詰まっているんですよ」

 “研究員”は、現代の悪女たち。悪女とはずいぶんセンセーショナルな響きだが、「働く美女」であることがメンバーの条件だ。

 1カ月おきに勉強会を開き、著名人を招いて講演してもらう。後半ではお酒を飲みながら、キャリアウーマンならではの悩みや恋愛話に興じる。気がつけば、“同志”は約400人に増えていた。

 「男性社会で女性が働くには、女を捨てて男と同じ土俵に乗らないといけないのか。私は違うと思う。女性の得意なところを生かしながら、しなやかに成果を出す技が必要なんです」

 茨城県の警察署を結婚退職するも、離婚。銀座のクラブホステスに転身し、再婚、出産、再び離婚、と紆余(うよ)曲折を重ねてきた。

 男性ばかりの警備会社に就職したときのことだ。女性初の管理職に抜擢(ばってき)されたが、男性に取り囲まれて抗議を受けるなど、いじめとも取れる理不尽な壁にぶつかった。

 シングルマザーを見る世間の目は冷たく、子供が3歳になるまでは母親の手元で育てるべきだという「三歳児神話」を元に、悪女呼ばわりもされた。

 そこで生まれた開き直りとも言える言葉が、「悪女ですが、何か?」だった。

 「自分と同じ立場にいる女性はいっぱいいるんじゃないか。そういう女性のためのサークルをつくろう」

 とはいえ、ただ愚痴を言い合う会にはしたくない。そこで、歴史上の悪女を研究することを思い付いた。

 男性に何かしてあげる前に、まず男性の力を借りてそのお返しを装って何かをする「恩買い作戦」。裏に反感が込められている「すごいね」という言葉をもらうより、努力している姿をたくさん見せて「よかったね」と応援してもらう「努力見せ作戦」…。

 メンツを重んじ、実は嫉妬(しっと)深い男性の特性をとことん研究。働く女性に向けた実践的なアドバイスを繰り出す。大学や企業で講演する機会も増えた。

 最近気になっているのが、世の中に社会人としての基礎力が足りない人が多いということ。「そういう人は得てして、ここが足りないと指摘しても聞く耳を持たない。でも、ギリシャ神話などを例にアドバイスすると、意外と納得してくれる」のだという。

 時代によって、悪女の姿も変わる。男性社会をしなやかに生き抜く現代の悪女たちが、未来の悪女に研究される日は来るだろうか。(道丸摩耶)

【プロフィル】藤田尚弓

 ふじた・なおみ 昭和47年、東京都生まれ。37歳。茨城、千葉などを転々として過ごす。全国初の防犯専従職として茨城県警に勤務後、銀座ホステス、警備会社勤務などを経て、平成18年にweb製作会社「アップウェブ」起業。今年1月、悪女テクニックをまとめた「『悪女』の仕事術」(ダイヤモンド社)を出版した。

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